はじめに:その営業アプローチ、顧客に嫌われていませんか?
「はじめまして、株式会社〇〇の…」
一日に何十回と繰り返されるその言葉、本当に顧客に届いているでしょうか?
多くの営業担当者が「千三つ(せんみつ)」、つまり千件アプローチして三件しか成果にならない、という厳しい現実に直面しています。これは精神的に辛いだけでなく、ビジネスとして極めて非効率な状態です。
一方で、顧客はあなたのことなど知らないタイミングで、興味のないサービスの話を一方的に聞かされることに辟易しています。この売り手と買い手の「深刻なミスマッチ」こそが、現代の営業活動における最大の課題と言えるでしょう。
もし、顧客が「まさに今、その情報が欲しかった!」と感じる絶妙なタイミングで、最適な提案を届けられるとしたらどうでしょうか?
そのミスマッチを解消し、営業を科学するのが本記事で解説する「インテントセールス」です。これは、顧客の「買いたい」という意図(インテント)をデータで捉え、戦略的にアプローチする新しい営業手法です。
この記事を最後まで読めば、以下のメリットを得られます。
- 無駄なアプローチを撲滅し、成果に直結する活動に集中できる
- 顧客から「ありがとう」と感謝される、新しい営業スタイルが身につく
- テクノロジーを味方につけ、営業生産性を劇的に向上させる方法がわかる
断られることを前提とした「追いかける営業」は、もう終わりにしましょう。本記事を、あなたの営業を「求められる営業」へと変革させるきっかけにしてください。
1. インテントセールスとは?従来の営業との違いを理解する
それでは、あなたの営業活動を根底から変える力を持つ「インテントセールス」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。まずはその定義と、従来の営業手法との違いから詳しく見ていきましょう。
インテントセールスの定義
インテントセールスとは、顧客の「買いたい」「知りたい」という意図(Intent)をデータによって正確に捉え、そのニーズが最も高まった最適なタイミングで、最適なアプローチを行うデータドリブンな営業手法のことです。
少し分かりにくいかもしれませんので、釣りに例えてみましょう。
従来の営業が、魚がいるかどうかも分からない広大な海に、やみくもに釣り糸を垂れるようなものだとすれば、インテントセールスは、最新の魚群探知機(=インテントデータ)を使って、魚が最も集まっているポイント(=購買意欲の高い顧客)をピンポイントで特定し、その魚が好むエサ(=顧客に響く提案)で確実に狙うイメージです。
つまり、「誰に」「いつ」「何を」伝えるべきか。かつてトップセールスが長年の経験と勘で判断していたこの極意を、データという客観的な根拠に基づいて、誰もが実践できるようにするのがインテントセールスなのです。
従来の営業手法との比較
| 比較項目 | アウトバウンド営業 | インバウンド営業 | インテントセールス |
|---|---|---|---|
| アプローチの起点 | 企業(売り手)起点 | 顧客(買い手)起点 | 顧客(買い手)起点 |
| 姿勢 | ・能動的(プッシュ型) ・「狩猟型」 | ・受動的(プル型) ・「農耕型」、「待ち」 | ・能動的、予測的 ・「データ駆動型の狩猟」 |
| 主な手法 | テレアポ、飛び込み訪問、広告出稿、展示会出展 | SEO、ブログ、ホワイトペーパー、ウェビナー | Web行動解析、データ分析、スコアリング起点のアプローチ |
| メリット | ・ターゲット企業に直接アプローチ可 ・短期成果の可能性 | ・顕在ニーズが集まる ・関係構築しやすい | ・高意欲層に集中 ・商談化率、成約率が高い ・効率化 |
| デメリット | ・成功確率が低く非効率 ・嫌われやすい ・負担大 | ・立ち上がりが遅い ・問い合わせは不確実 ・コンテンツ競争 | ・ツール導入、運用コスト ・データ分析スキル ・営業×マーケ連携が必須 |
ご覧の通り、インテントセールスは、売り手が能動的に動く点ではアウトバウンドの要素を持ちつつ、顧客の興味・関心を起点にする点ではインバウンドの思想を取り入れています。
決定的な違いは、インバウンドが顧客からのアクションを「待つ」のに対し、インテントセールスは顧客のアクションの兆候(シグナル)をデータで能動的に「捉えにいく」ことです。
なぜ今、インテントセールスが注目されているのか?
背景1:顧客の購買行動の変化
インターネットとスマートフォンの普及で、購買行動は大きく変化しました。複数の調査で、B2Bの購買プロセスの大半は営業と会う前の自己主導活動(オンライン/オフラインの情報収集)に費やされることが示されています。営業と接する時間は購買全体の一部に過ぎない、というのが現在の通説です。
顧客はもはや、営業担当者を「新しい情報を教えてくれる人」とは考えていません。自分たちで集めた情報を整理し、自社の固有の課題に合わせた最適な解決策を提示してくれる「信頼できるパートナー」を求めています。
背景2:テクノロジーの進化
セールスインテリジェンス/MA(マーケティングオートメーション)/SFA/CRMの普及が、インテントセールスを現実にしました。
- セールスインテリジェンス:どの企業がどのテーマに関心を示しているか(特定キーワードの関心度、関連ページ閲覧傾向など)を企業単位で推定する外部インテントを提供
- MA:自社サイト来訪、資料DL、セミナー申込、メール反応などのファーストパーティデータを記録・分析
- SFA/CRM:商談履歴や接点を一元管理し、顧客情報を資産化
これらを連携することで、かつては勘に依存していた「今が提案のタイミング」を客観的データで可視化し、組織的に活用できるようになりました。
2. インテントセールスの核!「インテントデータ」を徹底解剖
インテントデータとは?
インテントセールスを理解する上で、避けては通れない最も重要な要素が「インテントデータ」です。このデータがなければ、インテントセールスは始まりません。
インテントデータとは一言でいえば、顧客がWeb上で示す「行動履歴」から読み取れる興味・関心・購買意図を数値化したものです。
例えば以下のような行動がインテントデータになります。
- 「営業 効率化」というキーワードで検索する
- 競合製品の比較記事を読む
- 料金ページを複数回訪問する
これら一つひとつの行動が、顧客の頭の中を映し出す「鏡」となり、購買意欲の高まりを可視化します。従来の営業では、顧客が何を考え、どの程度導入を検討しているかは直接会話するまで分かりませんでした。しかしインテントデータを活用すれば、
- 「今まさに情報収集を始めた段階」
- 「複数サービスを比較検討している段階」
- 「導入をほぼ決断している段階」
といったフェーズを高精度で推定し、それに応じた最適なアプローチが可能になります。
インテントデータの3種類(ファースト・セカンド・サード)
1. ファーストパーティデータ(1st Party Data)
内容:自社が直接収集・管理できるデータ。
例:
- 自社Webサイトの閲覧履歴(どのページを見たか・滞在時間)
- ホワイトペーパーや導入事例のダウンロード
- ウェビナーやセミナーへの参加申込み
- 問い合わせフォームの内容、過去商談履歴
特徴:
最も信頼性が高く、プライバシー規制の影響も少ない。インテントセールスを始めるなら、このデータを軸にするのが王道です。
2. セカンドパーティデータ(2nd Party Data)
内容:パートナー企業など、信頼できる外部が保有するファーストパーティデータ。
例:
- 共催セミナーの参加者リスト
- 提携メディアの会員データや行動履歴
- レビューサイトに投稿された自社製品の口コミ
特徴:
自社単独では接点を持てない新規顧客層にリーチ可能。ただし、データ利用範囲や契約条件を明確化する必要があります。
3. サードパーティデータ(3rd Party Data)
内容:データプロバイダーが収集・提供する広範囲な外部データ。
例:
- 特定キーワード検索を行った企業のIPアドレス情報
- 業界・役職ごとのリスト
- 企業のプレスリリース、求人情報、投資動向
特徴:
まだ接点のない潜在顧客を見つけるのに有効。ただし2025年現在はクッキーレス化や個人情報保護法の改正、GDPR強化などにより活用には注意が必要です。信頼できるプロバイダーを選び、企業単位での推定データを扱うなど、法令遵守が必須です。
【自社ですぐ活用できる】ファーストパーティデータの4分類
特に活用しやすいのはファーストパーティデータです。これをさらに4種類に分けて整理します。
- 行動データ
- 顧客がWeb上で「何をしたか」を示す
- 例:ページ閲覧履歴、クリック、滞在時間
- 入力データ
- 顧客がフォームやチャットで入力した内容
- 例:問い合わせ内容、アンケート回答
- キャンペーンデータ
- メルマガや広告キャンペーンへの反応
- 例:メールの開封率・クリック率、広告経由の流入
- コンテンツ閲覧データ
- 顧客がどの情報に強く関心を示したか
- 例:ホワイトペーパーDL、事例記事閲覧、動画視聴
データの「組み合わせ」で精度が激変する
単体データでは判断が難しくても、複数組み合わせると顧客像が立体的に浮かび上がります。
例:
- 料金ページを3回閲覧(行動データ)
- 営業DXに関するホワイトペーパーDL(コンテンツデータ)
- SFA連携のメルマガクリック(キャンペーンデータ)
→ この場合「営業DXに課題を抱え、SFA連携を前提に比較検討している可能性が高い」と推測できます。さらに問い合わせフォームに「SFA入力が煩雑」と書かれていれば、初回商談の切り口は自ずと決まります。
3. インテントセールスがもたらす3つの絶大なメリット
メリット1:営業活動の劇的な効率化と生産性向上
最大の魅力は、何と言っても効率化です。
従来の「千三つ」営業では、1,000件中997件はニーズがなかったりタイミングが合わなかったりする“無駄アプローチ”。これでは人的リソースも時間も浪費されます。
インテントセールスでは、購買意欲の高い見込み顧客をデータから絞り込み、そこにリソースを集中投下。結果として、アプローチの命中率が飛躍的に上がり、感覚的には“千三つが二十三つ・三十三つ”になるイメージです。
成功体験が増えればモチベーションも高まり、「断られるのが当たり前」という精神的負担から解放されます。そのぶん、
- 顧客課題の深掘り
- 心に響く提案資料づくり
- 社内ナレッジの共有
といった本質的かつ創造的な営業活動に時間を回せるようになります。
メリット2:商談化率・成約率の向上
「どうしてこのタイミングで連絡をくれたんですか?まさに困っていたところです!」
これはインテントセールスを実践した営業がよく聞く言葉です。
顧客が“今まさに情報を求めている瞬間”にアプローチできるため、驚くほどスムーズに商談化へ進みます。さらに、事前にデータから関心や課題を把握しているため、初回商談から的外れな説明を避け、相手の心に刺さる具体的提案が可能になります。
提案例:
「〇〇様、先日弊社ブログで『リモートワーク環境下での営業チームの生産性向上』という記事を熱心にご覧いただいていましたよね。同様の課題感をお持ちでしたら、その続編となる導入事例がきっと役立つと思い、ご案内しました。」
こうしたアプローチは、顧客に「理解されている」という安心感を与え、商談化率・成約率の双方を高める効果があります。
メリット3:優れた顧客体験(CX)の提供
インテントセールスは効率化にとどまらず、顧客体験(CX)の質そのものを変えるアプローチです。
従来の営業=「売り込み」による一方通行の印象だったのに対し、インテントセールス=「自分のために必要な情報を届けてくれる存在」として顧客に認識されます。
この結果、
- 不快感が減り、好意的に受け止められる
- 営業が「信頼できる相談相手」になる
- 契約後もアップセル/クロスセルがしやすい
- 口コミや紹介が発生しやすい
といった好循環が生まれ、LTV(Lifetime Value:顧客生涯価値)が上がるのです。
4.【実践編】インテントセールスの始め方5ステップ
STEP1:目的とターゲット(ICP)の明確化
最初に行うべきは、ツールの選定ではありません。「何のためにインテントセールスを行うのか」という目的と、「誰にアプローチするのか」というターゲットを明確にすることです。
目的の例:
- 新規顧客からの商談化率を現状の2倍にする
- 既存顧客へのアップセル・クロスセルを年間〇〇件創出する
- 解約率を〇%改善する
目的が定まったら、次に自社にとっての理想の顧客プロファイル(ICP: Ideal Customer Profile)を定義します。ICPとは、自社の製品やサービスによって最も価値を提供でき、かつ自社にとっても最も利益をもたらしてくれる顧客像のことです。
ICPの定義項目例:
- 企業属性: 業種、従業員数、売上規模、地域
- 部署・役職: どのような部署の、どの役職の人物か
- 抱えている課題: どのようなビジネス上の課題を抱えているか
- テクノロジー: どのようなツールを導入しているか
なぜICPの定義が重要かというと、これが「どのインテントデータに注目すべきか」という羅針盤になるからです。
例えば、ターゲットが「SFAを導入済みの中小企業」であれば、「SFA 連携」「SFA 乗り換え」といったキーワードに関するインテントデータが重要になります。
この軸がブレていると、集めるべきデータが定まらず、宝の持ち腐れになってしまいます。
STEP2:インテントデータの収集・分析基盤の構築
目的とターゲットが明確になったら、いよいよインテントデータを集めるための土台作りです。
まずは、最も身近なファーストパーティデータから始めましょう。
自社のWebサイトにGoogle Analytics 4(GA4)などのアクセス解析ツールが導入されているか確認してください。これが第一歩です。
その上で、本格的にインテントセールスを実践していくためには、以下のようなツールの導入を検討します。
- MA(マーケティングオートメーション): Webサイト訪問者の行動追跡や、メール配信の自動化に必須です。
- SFA/CRM: 顧客情報や営業活動の履歴を一元管理します。ここに蓄積されたデータは、非常に価値の高いインテントデータとなります。
- セールスインテリジェンスツール: 自社とまだ接点のない潜在顧客のインテントを捉えるために、サードパーティデータを活用する場合に導入します。
重要なのは、これらのツールを連携させ、データを統合して分析できる環境を構築することです。SFA/CRMに蓄積された既存の顧客データを整理・クレンジングすることも、この段階で忘れずに行いましょう。
STEP3:購買意欲を示す「インテントシグナル」の定義
データ基盤が整ったら、次は「どのような行動を取った顧客を『見込みが高い』と判断するか」という具体的な基準、すなわち「インテントシグナル」を定義します。
これは、インテントセールスの成否を分ける非常に重要なプロセスです。
営業部門とマーケティング部門が協力し、過去の成功事例などを参考にしながら、自社独自のシグナルを定義していきましょう。
インテントシグナルの定義例:
- 料金ページを過去1週間で3回以上閲覧した
- 競合製品Aとの比較記事をダウンロードした
- 導入事例を2つ以上閲覧した
- オンラインデモの申し込みページにアクセスしたが、離脱した
- 「〇〇(自社サービス名) 料金」「〇〇 評判」といったキーワードで検索し、サイトに流入した
さらに、これらのシグナルに応じてスコアリング(点数付け)する仕組みを構築します。
「料金ページの閲覧:+10点」「ホワイトペーパーのダウンロード:+5点」のように行動に重み付けを行い、合計スコアが一定の閾値を超えたら「アプローチすべき見込み客」として営業担当者に通知する、といった運用が一般的です。
STEP4:インテントに基づいたアプローチシナリオの設計と実行
スコアによって見込み客の購買意欲が可視化できたら、その度合いに応じたアプローチシナリオを設計します。ここでも、マーケティング部門と営業部門の緊密な連携が不可欠です。
| インテント度合い (スコア) | 顧客の状況 | 担当部門 | アプローチ内容 |
|---|---|---|---|
| 低(1〜20点) | 情報収集段階・課題が漠然 | マーケティング | ブログ/メルマガ等の有用コンテンツで継続的にナーチャリング |
| 中(21〜50点) | 比較検討段階・解決策探索 | インサイドセールス | 電話/メールでヒアリング、必要に応じてオンラインデモ提案 |
| 高(51点以上) | 導入検討段階・具体化 | フィールドセールス | 提案・見積・アポ取得で商談を前進 |
このように、顧客の検討フェーズに合わせて、組織として最適なアプローチを行うことで、顧客体験を損なうことなく、スムーズに商談を進めることができます。
STEP5:効果測定とPDCAによる改善
インテントセールスは、「一度仕組みを作ったら終わり」ではありません。市場や顧客は常に変化しています。その変化に対応し、成果を最大化し続けるためには、効果測定と改善のサイクル(PDCA)を回し続けることが不可欠です。
測定すべきKPI(重要業績評価指標)の例:
- インテントシグナル発生から商談化に至るまでの日数(セールスサイクル)
- インテントスコア別の商談化率、受注率
- アプローチシナリオ別の成果(チャネル/スクリプトごと 等)
リフト(%改善)の定義
- (施策後指標 − 施策前指標) ÷ 施策前指標 × 100
例)商談化率が 10% → 15% なら +50% リフト
これらのデータを定期的に分析し、「どのインテントシグナルの定義が最も受注に繋がりやすいか」「インサイドセールスがアプローチするスコアの閾値は適切か」といった仮説検証を繰り返します。また、これらのKPIを定点観測し、「施策実施前と比較して商談化率が何%改善したか(リフト値)」といったベースライン対比で評価することで、投資対効果を明確にできます。
この地道な改善活動こそが、インテントセールスを自社の文化として定着させ、持続的な成長を実現するための鍵となるのです。
5. 失敗しないために!インテントセールスの2つの大きな誤解
インテントセールスは非常に強力な手法ですが、その導入や運用において陥りがちな「誤解」も存在します。
ここでは、特に注意すべき2つのポイントを挙げ、成功への道を確実なものにしましょう。
誤解1:ツールを導入すれば、すべて自動でうまくいく
インテントセールス関連のツールは非常に高機能ですが、「導入すれば勝手に成果が出る」と考えるのは危険です。
ツールはあくまで戦略を実行するための“武器”に過ぎません。
- STEP1:目的・ターゲット(ICP)の明確化
- STEP4:営業とマーケティングの連携設計
この2つの前提があって初めて、ツールが活きます。逆にここを飛ばして「とりあえず流行りだから」と高価なシステムを入れると、データは集まっても誰も使いこなせず、宝の持ち腐れになるリスクがあります。
誤解2:データ(事実)だけ見れば十分
インテントデータは顧客の行動を示す「事実」ですが、その裏にある「なぜそうしたのか?」というインサイトまでは教えてくれません。
例えば:
- 料金ページを3回見た(事実)
→ 「価格に不満がある」のか、「予算策定のための調査」なのかは分からない。 - 競合比較記事を読んだ(事実)
→ 「乗り換え検討」なのか、「社内プレゼン用に調べている」だけかもしれない。
このギャップを埋めるには、
データ(一次情報) → 仮説立案 → ヒアリング(二次情報) → 学習・改善
というループを回すことが不可欠です。
例えば、自社サービスの資料をダウンロードした顧客に「どういった課題感からご覧いただいたのですか?」とヒアリングすれば、数字では見えない“本音”をつかむことができます。
これが価値ある提案につながります。
6. インテントセールスを加速させるおすすめツール3選
インテントセールスを実践する上で、ツールの活用は非常に有効です。
ここでは、代表的なツールのカテゴリと、それぞれの特徴、選び方のポイントを解説します。
ツールの選び方のポイント
ツールを選ぶ際は、以下の3つの視点を忘れないでください。
- 目的: 自社がインテントセールスで何を達成したいのか(新規開拓?アップセル?)。
- 予算: 導入コストと運用コストは、自社の規模に見合っているか。
- 連携性: 既に導入しているSFA/CRMなどのシステムとスムーズに連携できるか。
これらのポイントを踏まえた上で、代表的な3つのカテゴリを見ていきましょう。
カテゴリ1:セールスインテリジェンス特化型ツール
- 例: Sales Marker, Dealfront など
- 特徴: サードパーティデータを活用し、自社に興味・関心を持つ企業をWeb上から探し出し、リストアップすることに特化しています。まだ接点のない潜在顧客の「まさに今」のニーズを捉えるのに強力な武器となります。
- こんな企業におすすめ:
- 新規顧客開拓を最重要課題としている企業
- ABM(アカウントベースドマーケティング)戦略で、ターゲット企業の動向をリアルタイムに把握したい企業
カテゴリ2:MA/SFA一体型・連携前提ツール
- 例: HubSpot、Salesforce Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)など
- 特徴: ファーストパーティデータの収集・分析からナーチャリング、営業活動管理までを連携前提で統合運用しやすいのが強みです。マーケティング部門と営業部門のデータ連携がスムーズに行えます。
- こんな企業におすすめ:
- これからデータドリブン営業の仕組みをゼロから構築したい企業
- Webサイトからのリード獲得から受注までを一気通貫で管理・効率化したい企業
カテゴリ3:ABM(アカウントベースドマーケティング)プラットフォーム
- 例: FORCAS など
- 特徴: 自社にとって最も価値のあるターゲット企業群(アカウント)を定義し、その企業群に属する人々のインテントを重点的に分析・アプローチすることに強みを持っています。リソースを重要顧客に集中させたい場合に有効です。
- こんな企業におすすめ:
- 特定の業界や規模の企業をターゲットとしている企業
- エンタープライズ(大企業)向けの営業を行っている企業
まとめ:インテントセールスで「追われる営業」へ
- インテントセールスは、顧客の「意図」をデータで捉え、最適なタイミングでアプローチする効率的な手法。
- 成功の鍵は、良質なインテントデータ(特に1st)と、データの裏にあるインサイトの読み解き。
- ツールは強力な武器だが、目的・ターゲットの明確化→連携設計→PDCAの流れが不可欠。
明日からできるアクションプラン(チェックリスト)
- 自社のWebサイトに Google Analytics 4(GA4) が導入され、主要イベントが計測できているか確認
- 顧客から最もよく聞かれる質問・相談内容を 5つ リストアップ
- 営業・マーケティングで「見込み客の定義」を話す 30分会議 を設定
- 営業・マーケ・CS間で、インテントデータの通知ルールと対応の SLA(サービスレベル合意) を定義
- SFA/CRMの重複/欠損を洗い出し、データクレンジング計画 を作成
免責事項
本記事に掲載されている情報は、2025年9月時点のものです。可能な限り正確な情報の提供に努めておりますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。掲載のツール・サービスの選定および情報の利用は、読者様ご自身の判断と責任にてお願いいたします。情報の利用により生じたいかなる損害についても、当方は責任を負いかねます。


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